大通を西のほうへ歩く

札幌には大通公園があります。言うまでもないですね。東はテレビ塔の下から、西は札幌市資料館(西13丁目)あたりまで広々と公園が伸び、世の中がこんなふうになる前は折々にさまざまなイベントを催して人が集まっていたわけです。

ただ、ビアガーデンなんかでも大手の大規模ビアガーデンを過ぎて7丁目あたりからは、ちょっとそこまで歩く人が少なくなってきます。正直遠いし歩くのつらいですもんね。

ただ、大通周辺(〜すすきの、資生館小学校あたりまで)でおもしろいお店が増えてくるのって7丁目からな気がするんですよ。

というわけで、大通を西へ西へと歩いていくと見つけるわたしの好きなお店を書きとめておこうと思います(2021年10月1日現在)。しばらく行ってないお店もあるので、最新情報は各自お調べください。

喫茶カルメル堂(南1条西6丁目)

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感染症が流行りだしていち早く「お一人様専用」を打ち出した意志のある喫茶店です。

こだわりが強くて気難しいかというとそうでもなく、静かで居心地のいいお店です。

手作りのケーキやトースト、どら焼きもおいしい。冬場のシチューもすごくおいしかったです。

「落ち着く」もそうなんですが、「行くことにわくわくする」「行ってこれが食べたいと思う」を演出するのがうまいんですよね。

あと、トイレがすごく広いです。古めのビルなんで水回り心配になるかもしれないんですが、綺麗なトイレです。

店主や店員の皆さんが作っている「カルメル新聞」も必読。活字好きにはたまらない密度です。

「文化」や「教養」が空間を作るとこうなるのかあ、という喫茶店です。

ハリネズミ珈琲店(南3条西8丁目)

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以前にも紹介したんですが、移転したのであらためて。

移転前はエレベーターのないビルでしたが、移転してエレベーターのあるビルになりました。あの細い階段をゼエゼエいいながら4階まで登ったのがちょっとなつかしいんですが、意志が弱いので毎回エレベーターに乗ってしまいます。

移転しても居心地は変わらず、少し窓から入る陽射しが暗くなって落ち着いた雰囲気になったかなというくらいです。

お菓子もおいしいし、飲み物も気が利いているし、何より安心感があります。「疲れちゃったな、どこかでひと休みしたいけどどこにしよう?」がわからなくなったとき、とりあえずハリネズミ珈琲店さんが開いてれば駆け込める。淡々と「いつもの空間」を提供し続けてくれているので、入るとホッとします。

生クリームがとろんとのっかったマフィンがたいへんに心浮き立つので、マフィンのあるときを狙って行くのがオススメです。

baR menta(南3条西7丁目)

狸小路のハリネズミ珈琲店よりちょっとすすきの(資生館小学校)寄りのひっそりしたお店。

カウンターのみで、気軽においしいワインと料理が楽しめます。

「カウンターのみで気軽に」だと軽いおつまみだけのお店もわりとあると思うんですが、こちらはしっかりごはんもいけます。冬場のグラタンも絶品。カウンターの中で調理している様子が見えるので、「プロの仕事見るの大好き客」のはとさんも大満足です。お寿司屋さんとかバーでもカウンターで仕事見るのが好きなんですよね。

旬の野菜や季節に合わせたメニューを作ってくれるので、何度も通いたいお店です。

早い時間からやってくれているので、時短営業でもゆっくり飲めるのも嬉しいな。早速行きたい。

楼蘭(南3条西9丁目)

北海道札幌市の中国茶専門店「楼蘭(ろうらん)」のウェブサイト。中国茶の通信販売、中国茶Q&A、中国茶講座の案内など。
www.rouran.net

狸小路に戻って、中国茶専門店の楼蘭です。もうしばらく行ってないけど、まだやってるかな。

中国茶のお店ってだいたいそうなんですが、お湯を足しながら無限に飲めるので長時間居座りやすいんですよね。

ここはアーケードも途切れた狸小路の9丁目で、そんなに混み合うこともないので余計にゆっくりしてしまいます。

わたしは食べたことがないんですが、中華のランチもやってるみたいです。

三八菓舗(南1条西12丁目)

kakasha.com

お土産お菓子だと「菓か舎」のほうをよく見るかもしれません。本社がこちらの西11丁目駅近くにあります。

最近は市内中心部のデパ地下でも買えるようになったんですが、「どんどら」がおいしい。焼きたてどらやきです。あんこたっぷり、生地がしっとり。こんな素朴なおやつがおいしいのは幸せなことです。

以前は西11丁目あたりに来るたびにここに立ち寄ってどんどら買って帰っていました。紙袋がすずらんの柄でかわいいんですよね。

珈琲と衛星(大通西17丁目)

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このあたりまで来るとだいぶ円山のかおりが強くなってきます。近代美術館近くというとずっとカエルヤ珈琲店さんがお気に入りだったのですが、ごく最近現れた新星です。

こちらも「当面の間お一人様限定」。店内には本も並んでいて、静かで落ち着く空間です。カルメル堂さんよりぐっと明るく、昔のハリネズミ珈琲店さんに似た雰囲気でしょうか。

メニューや席に置かれた注意書きがおそらく万年筆の手書きです。店主のお人柄が伝わってくるような、明るく静かで穏やかなお店だと思います。

こちらでいただいたトーストのパンがふつうの食パンではなくて、歯切れの良いあっさりしたおいしいパンだったので衝撃すぎてお会計のときに「どこのパンですか?」って聞いてしまいました。西18丁目を南にずっと下るとある、パン卸売りの「パリジャン・サガ」さんのものだそうです。小売りもしているとのことで意気揚々と行ってみたのですが、おそらく珈琲と衛星さんで使っている「まるパン」は品切れで、ふつうの食パンをスライスしてもらいました。しゃきしゃきしたおじいちゃん職人が鮮やかにスライスしてくれた食パンもおいしかったですが、次は早起きしてまるパンを買いに行きたいなあ。

お店の雰囲気はすごくいいのですが、トイレが和式です。絶対無理ではないがなるべく避けて通りたいので、特におなかの調子が悪いときはよその洋式トイレで済ませてから行くようにしています。

理不尽な世の中と店主のプライド

突然に営業を制限され、迷走する政策に振り回される飲食店の店主さんがたは本当にお気の毒なことです。

特にお酒に売上を頼るタイプの(お酒を出すお店のほとんどがそうだと思いますが)ところは、酒類の提供をしない=休業、とならざるをえないところが多く、やってられないのが本音でしょう。

でも、今日この紹介記事を書いていて、お酒を出す店が極端に少なくなってしまったのは、単純に「どこも休業でしばらく行ってないから」以上の理由があります。

SNSで店主が愚痴ったり政策に不満を述べていたり、とにかくネガティブな態度だとちょっと腰が引けちゃうんです。

それでいくつもSNSのお店アカウントをブロックしました。Facebookはそういう投稿が多すぎて見るの自体やめました。

愚痴を言いたくなる気持ちや不満を持つことを否定しているのではありません。批判はしかるべきところに届け、政策の改善に役立てるべきだと思います。

ただ、それとは別にわたし個人の気持ちとして、不満たらたらな様子をお客さんに垂れ流しちゃう店主のお店ってどんなにお酒や料理がおいしくても居心地悪いな、と思うんです。

お店の名前は伏せますが、お料理が本当においしくて通っていたお店がありました。わりと早めの時間から開けているので、早い時間に何度か行ったのですが、小学生くらいの息子さんとお母さん(ホール係)がいて、もうずっと息子さんにきつくあたっているんです。どこにでもある風景といえばそうなんですが、「なんでできないの?」「いいかげんにしてよ」とイライラしているのを、お客さんの前でずっと見せちゃうのって……。さすがにおいしかったはずの料理も味がわからなくなって、もうすっかり行くのはやめました。口コミの評価なんかは高いままなので、息子さんのいない時間帯に行けば気にならないのでしょう。

せめてSNS上では淡々と「休業します」ですませ、愚痴は見えないところで言うくらいのプライドのある店主のお店なら安心して通えますね、という話でした。

喫茶店はお酒に売上を依存していないので時短で営業もでき事情が違うとは思いますが、お店アカウントのSNSでの愚痴や不満でへとへとに疲れてしまったので、個人経営の飲食店はSNS運用についてちょっと見直してもいいんじゃないかと思います。それでお客さん離れたら意味ないですもんね。