占星術がわかること、わからないことの話

占い師をしていると、「占い師として学んだ占いでできること」と「一般の方が占いに求めていること」にかなりギャップがあるなと思います。

もちろん占術によって得意不得意もあるのですが、この記事では占星術にとって「わかること」「わからないこと」についてお話します。

「恋人はできますか?」「お金持ちになれますか?」

非常によく聞かれる質問です。

特に悩み事のないときになんとなく占ってもらおうかな、と占い師の前に座ったらとりあえず出てくる質問かもしれません。

しかし、こういった「結果のはっきりしていること」が「達成されるかどうか」については、YESともNOとも言えないのが一般的です。

それは「あたりはずれがはっきりわかってしまうから」ではなく、占星術が見ているものは「可能性の種」だからです。

個人のご相談にお答えするとき、ほとんどは「出生図」を見ます。

これは「その人が生まれた瞬間、その場所から見える(昼間の場合は目視はできませんが、天空に存在する)星の位置」を表した図で、占星術ではその天体配置からその人が持って生まれた傾向や可能性を読み解きます。

そのため、ものごとの結果については「その人がどう行動したか」によってなんとでも変わります。

恋愛や金運について「恵まれている」または「困難が多い」星回り、というものはあります。それでも「恵まれているから、何もしなくても向こうから恋人がやってくる」「困難が多いから、一生恋愛はできない」と、結果が決まってしまうことはありません。

恵まれた星回りをお持ちのかたにはそれなりの注意点があり、困難が多い星回りのかたにはその先に大きな結果が待っている、と占星術では考えます。持って生まれた傾向から「このように行動するのが無理がない」とアドバイスをさしあげるようにしていますが、いずれにせよご自身の行動なくして結果はありません。

「行動」に応じた「結果」があるとき、占星術が決められるのは「行動の指針」であり、「結果」を導き出すのはあくまで「どのようなタイミングでどう行動したか」です。あらゆる占いは古来政策や戦略の決定に使われてきましたが、そのころからおそらく「占いによって未来が確定してしまう」ことはなかったはずです。占いとは単純な未来予知ではなく、「どのように行動すべきか」をたずねるものとしてはじまったのです。

「あの人の気持ちを教えてください」

「恋愛」に関係したご相談としてはこれも非常によくあります。

これもまた、単純に「こう思っているはずです」とお答えすることはできません。(本人ではないので、嘘になってしまいますし)

こういったご相談を受けるとき、相談者さんが本当に聞きたいことはなんなのかを詳しく聞き取る必要があります。

そのうえで、占星術ではお二人の出生図を重ねて相性をみる、ということは可能です。

とはいえこれもまた結果を確定するものではありません。なごやかな関係性のこともあれば、激しくぶつかりあう関係性のこともありますが、どちらの場合も「だから良い」「だから悪い」ということはありません。

「こういった傾向があるので、こういうところに気をつけて向き合うと良い」というアドバイスはできます。しかし、「必ず永遠に円満である」「絶対にうまくいかない」とは言い切れません。

「仕事について悩んでいます」

大きなくくりでは「金運」とも絡んできますが、仕事についてのご相談も定番です。

仕事についてのご相談は恋愛絡みよりいくらか具体的なものが多いこともありますが、こういったご相談には占星術はおおいに力を発揮します。

さきに述べたように占星術は「可能性の種」をみる占いです。仕事については、その人の能力的な適性の他に、周囲の人からどれだけ手助けが得られるか、思いがけない困難や変化にどれだけ遭いやすいか、などさまざまな星が可能性を提示します。

そのうえで、出生図に計算を加えたり、現在の天体図を重ねたりすることで、時期的な予測をすることもできます。つまり、「動くべきでない時期」「動くのに適切な時期」を割り出すのです。

相談者さんの置かれた状況を聞き取り、持って生まれた可能性や時期を総合して今後どのように行動していくべきか、占星術の視点からアドバイスをすることができます。もちろん、占星術が提示するものは「可能性」と「行動の指針」ですから、「言うことをきかなければ不幸になる」なんてことを言うのは詐欺師です。今後の人生を考えたとき、「占星術にたずねる」ということを選択肢のひとつに加えることはできますが、それは「ちょっと違った視点を持つ」にすぎず、占いで人生のすべてを決めてしまうことではありません。

占いを利用するということ

能動的に占いを求める人の多くが、占いではどうしようもない問題を抱えている、と感じています。

それに対して、特に占いに興味のないひとにとって、占いが提供できるものはもっとある、とも思います。

占い師と占ってもらう人のミスマッチがずいぶん多い世の中だと思うのです。占いを求める人に必要なのは占いではなく福祉や制度の手をとることであり、なんとなく答えの出ない疑問を抱える人に占いが明かりをともすことだってある、と考えています。

これは私が占星術を学んだから思っていることでもあるのですが、占いというのは「遠くに小さな明かりをともすこと」と表現しています。

星が道しるべとなるように、その明かりを見てどのように歩くかはあなた自身が決めるのです。

占いはあなたの背中を押しますが、決断を肯定も否定もしません。結果を決めるのは占いではありません。

目の前のことに迷ったとき空を見上げるように、少し違った視点として占いを利用してもらえたらと思います。